人形町に潜む赤い窯|サワードゥピザ「Pizza Tane」

東京都中央区日本橋人形町。裏手のビジネス街を歩いていると、赤い外観と緑に包まれた建物が目に飛び込んできます。


ここは路地裏園芸をコンセプトにしたホテル「SOIL Nihonbashi Hotel」。
2025年9月1日にオープンしたこのホテルの1階に、サワードゥピザ専門店「Pizza Tane」があります。

赤い窯とともに始まる、小さな物語

店内へ足を踏み入れると、まず視線を奪われるのが真っ赤なピザ窯。レンガ調の外観と相まって、まるで童話の世界に迷い込んだかのようです。

ランチメニューはシンプル。2種類の「サワードゥピザ」か、サワードゥ生地を使ったホットドッグ「サワードッグ」から選べます。
今回は王道のトマトとモッツァレラのピザをオーダー。待つ間も、カウンター越しにシェフがピザ生地を伸ばしていく様子をながめられるので退屈しません。

店内には一定の世代には懐かしい、カセットテープが並んでいてレトロな雰囲気。実際に音楽も楽しめるそうですよ。

きっと魔女の宅急便のキキがピザ屋さんを始めたらこんなお店になるんじゃないか、なんて思いにふけっているとサラダが運ばれてきました。
新鮮なグリーンにパルメザンチーズがふわりとかかり、シンプルながらもうれしい一皿です。

サワードゥが奏でる、異なる食感・風味の四重奏

ピザは目の前で焼かれているので、焼き上がり間近の香ばしい香りをダイレクトに感じられます。


ほどなくして、香ばしい匂いの正体が運ばれてきました。


直径20〜25cmほどの一人用ピザは、想像以上にボリューミー。ふっくら焼き上がった耳は外はカリッと、中はもちもち。香ばしさと弾力が同時に押し寄せてきます。ひと口で二重奏の音楽を聴いているような、そんな感覚。

さらにかみしめるほどに、小麦の甘さとほんのりとした酸味が顔をのぞかせます。これがサワードゥピザの特徴。
カリもち食感と甘みと酸味、2種類の風味はまるで四重奏。


ピザに使われているバジルは、建物の屋上で育てられているそう。
摘みたて、採れたてのまさにフレッシュバジルです。

ちなみに、先ほどから登場している「サワードゥ」ってワード、みなさんご存じでしたか?
小麦粉と水だけで自然発酵させた天然酵母の種を、Sourdough(サワードゥ)と呼ぶのだとか。

実はこちらのサワードゥは、ご近所にある人気のパン屋「PARKLET」さんから分けてもらった酵母をベースに育てられているそうです。
名店が長年育ててきた種を受け継ぎ、新たな物語を紡いでいく……。Pizza taneの「tane」には「種」という意味が込められているんですね!


水と小麦粉という素朴な食材が、酵母の力でこんな豊かな味わいになるのかと驚かされる、とにもかくにも「おいしい」の一言です。

軽やかな余韻とともに、午後の仕事へ

ピザは見た目こそボリュームがありますが、なにしろ生地がおいしいのでペロリと食べられます。
もちっと食感で満腹感はありますが、不思議と重たくない。天然酵母は食後の血糖値の急上昇を抑える効果もあるんだとか。


さらに、製造過程で作られる酵素や善玉菌の働きで腸内環境が整い、糖質の吸収を穏やかにする効果もあるようです。なので、ランチ後の気だるさを感じません。

店内はカウンターと小さなテーブルが4つほど。決して広くはありませんが、逆にこのコンパクトさが居心地の良さを生んでいます。
季節が良ければ外のテラス席で風を感じながら過ごすのも気持ちよさそう。

食後のコーヒーをいただきながら、まったりとした時間が流れ……おっと、名残惜しいですがそろそろ仕事に戻ります。
天然酵母のおかげで、午後の眠気とは無縁に仕事がはかどりそう!

人形町に潜む赤い窯の小さなピザ屋さん。日常を抜け出して、ほんのひと時、おとぎ話の世界に足を踏み入れてみませんか?

Pizza tane
住所:東京都中央区日本橋人形町3-2-4SOIL Nihonbashi Hotel 1F
アクセス:東京メトロ日比谷線「人形町駅」より徒歩約4分
TEL:03-6231-0945
営業時間:11:30-15:00 (lo14:30) / 18:00-22:00 (lo21:00)
定休日:店舗へご確認ください
駐車場:なし

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。
ABOUT US
Panemi
Panemi
10年以上見てきた日本橋エリア。歴史と新しいものが混在する魅力的な街を紹介します。